プロジェクトマネージャーになるための知識を学べます。

PMコース

PM基礎

# PM実務①　要件定義のやり方

## はじめに

プロジェクトマネジメント（PM）の実務において、要件定義はプロジェクトの成功を左右する重要なステップです。要件定義がしっかりと行われていないと、プロジェクトの進行中に仕様変更が頻発し、スケジュールや予算の超過を招く可能性があります。このチュートリアルでは、要件定義の基本的なプロセスとその重要性について学びます。

## 要件定義とは

要件定義とは、プロジェクトの目的を達成するために必要な機能や性能、制約条件を明確にするプロセスです。これにより、プロジェクトチーム全員が同じ目標を共有し、効率的に作業を進めることができます。

### 要件定義の目的

- **プロジェクトの方向性を明確にする**: プロジェクトのゴールを明確にし、関係者全員が同じ方向を向いて作業を進めることができます。
- **リスクの軽減**: 早期に要件を明確にすることで、後々の仕様変更や追加作業を減らし、リスクを軽減します。
- **コミュニケーションの円滑化**: 要件を文書化することで、関係者間のコミュニケーションが円滑になり、誤解を防ぎます。

# PM実務① 要件定義の進め方（シンプル版）

## ✅ 要件定義の進め方と必要な項目（最低限）

| **フェーズ** | **目的** | **最低限の必要項目** | **成果物（アウトプット）** |
|-------------|---------|----------------|------------------|
| **プロジェクト宣言** | 何を作るのか？を明確にする | - プロダクトの目的・ゴール - 主要なステークホルダー（関係者） - スコープ（開発範囲） | - **プロジェクト計画書** |
| **機能設計** | 必要な機能を整理する | - 機能一覧 - 機能の優先度 | - **機能リスト** |
| **非機能設計** | パフォーマンス・セキュリティの要件を決める | - 性能要件（レスポンス時間） - セキュリティ（認証・データ保護） | - **非機能要件リスト** |
| **画面設計** | どんな画面が必要かを整理する | - 画面一覧 - 画面の遷移関係 | - **画面遷移図・ワイヤーフレーム** |

---

## 📌 解説（最低限のポイント）

1. **プロジェクト宣言** → 「何を作るのか？」の全体像を決める 
 - **なぜ作るのか？** → ビジネス目標やゴールを明確にする 
 - **どこまで作るのか？** → スコープを決めて開発範囲を明確にする 

2. **機能設計** → 「どんな機能を持つのか？」を決める 
 - 機能のリストアップ（例：ログイン、検索、購入） 
 - **優先度をつける**（MVPの考え方） 

3. **非機能設計** → 「システムの品質や安全性をどう保つか？」を考える 
 - **レスポンス時間**（例：ページ読み込み1秒以内） 
 - **セキュリティ対策**（例：パスワード暗号化） 

4. **画面設計** → 「ユーザーが触る画面」を決める 
 - 主要な画面一覧（ログイン・ダッシュボードなど） 
 - 画面の遷移を整理し、ワイヤーフレームを作る 

---

この4つのステップさえ押さえておけば、 
**「最低限、開発を進めるための要件定義」ができる！** 🎯

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## ✅ まとめ
✅ **プロジェクト宣言** → 目的とスコープを決める 
✅ **機能設計** → どんな機能を作るかリストアップ 
✅ **非機能設計** → パフォーマンス・セキュリティ要件を決める 
✅ **画面設計** → 必要な画面と遷移を整理 

📌 **この4つのフェーズをシンプルに進めるだけで、最低限の要件定義は完成！** 


要件定義はプロジェクトの成功に不可欠なステップです。しっかりとした要件定義を行うことで、プロジェクトの方向性を明確にし、リスクを軽減し、関係者間のコミュニケーションを円滑にすることができます。このチュートリアルで学んだ要件定義のプロセスとベストプラクティスを活用し、プロジェクトを成功に導きましょう。

 
 

# それでは、これまでの説明をもとにして、実際にどのように要件を設計していていくのか、具定例を示します。
## A社の事例： 洋服販売サイト 要件定義

# A社 洋服販売サイト 要件定義

## 1. プロジェクト宣言
### 📌 プロジェクトの目的
A社の新ブランド「アクオス」のオンライン洋服販売サイトを構築し、顧客がスマートフォンやPCを使って簡単に商品を閲覧・購入できるECサイトを実現する。

### 📌 主要なステークホルダー
- **A社の経営層**（売上目標の設定、投資判断）：社長室 小林様
- **A社のマーケティングチーム**（プロモーション施策、SEO対策）：山中様
- **A社のカスタマーサポート**（注文・問い合わせ対応）：棚田様
- **PM**（プロジェクトマネージャー）：㈱if 田中
- **デザインチーム**（サイトのUI/UX設計）：㈱if 杉浦
- **開発チーム**（フロントエンド・バックエンド・インフラ）：㈱if 大内、山上

### 📌 スコープ（開発範囲）
**✅ 開発する機能:**
- 商品閲覧・検索・詳細ページ
- カート機能
- 会員登録・ログイン機能
- 決済・注文機能
- 購入履歴・配送状況確認
- 管理画面（商品管理・注文管理）

**🚫 対象外（開発しない範囲）:**
- 実店舗との在庫連携（第2フェーズで対応予定）
- 多言語対応（将来的に検討）

### 📌 スケジュール
- **要件定義・設計:** 2ヶ月
- **開発:** 4ヶ月
- **テスト:** 1ヶ月
- **リリース予定:** 2025年3月

## 2. 機能設計
### 📌 機能一覧
| 機能カテゴリ | 機能 | 説明 |
|-------------|------|------|
| **商品管理** | 商品登録・編集 | 管理者が商品を登録・価格変更できる |
| | 在庫管理 | 在庫数の更新・通知機能 |
| **ユーザー管理** | 会員登録・ログイン | メールアドレス・SNS認証をサポート |
| | パスワードリセット | メール認証によるリセット機能 |
| **購入・決済** | カート機能 | 商品をカートに追加・削除 |
| | 決済機能 | クレジットカード、PayPay対応 |
| **配送・注文管理** | 配送状況確認 | ユーザーが配送状況を確認できる |
| | 購入履歴 | 過去の注文を閲覧可能 |

## 3. 非機能設計
### 📌 パフォーマンス要件
- レスポンス時間：ページ表示1秒以内
- 最大同時接続数：1,000ユーザー対応

### 📌 セキュリティ要件
- ユーザーデータはAES-256暗号化
- OAuth2.0によるSNSログイン対応
- クレジットカード情報は外部決済サービス（Stripe）で処理

### 📌 可用性・運用要件
- 稼働率99.9%以上を保証
- 毎日のデータバックアップを実施
- 障害発生時は自動復旧システム（Auto Scaling）を活用

## 4. 画面設計
### 📌 主要画面一覧
| 画面名 | 説明 |
|--------|------|
| **トップページ** | 新着商品・人気商品を表示 |
| **商品一覧ページ** | カテゴリ・フィルター機能付きの商品一覧 |
| **商品詳細ページ** | 画像・価格・説明・レビューを表示 |
| **カートページ** | カート内の商品と合計金額を表示 |
| **決済ページ** | 支払い方法選択・配送情報入力 |
| **マイページ** | 購入履歴・配送状況を確認 |
| **管理画面（管理者用）** | 商品登録・注文管理 |

✅ **ワイヤーフレーム作成ツール:** Figma / Adobe XD
✅ **レスポンシブデザイン対応（スマホ・PC対応）**

## 5. ここまでのまとめ
📌 **要件定義のポイント:**
1. **プロジェクトの目的とスコープを明確にする**
2. **機能を整理し、優先度を決める**
3. **非機能要件を明確にし、運用・セキュリティ対策を考慮する**
4. **画面設計でユーザー体験を設計する**

この要件定義を基に、開発チームと連携してシステムを構築する。

## 要件定義が終わった段階で、チームでレビューします。要件に問題がなければ、「仕様書」として開発が着手できるレベルに落とし込みます。この段階はPMがすべての仕様を書くのではなく、技術仕様など開発者に依頼することになります。
 
 

## **A社 洋服販売サイト 仕様書**

## **1. プロジェクト宣言**
### 📌 **プロジェクトの目的**
A社の新ブランド「アクオス」のオンライン洋服販売サイトを構築し、スマートフォンやPCを利用して、10代の女性が簡単にトレンドの洋服を閲覧・購入できるECサイトを開発する。

### 📌 **主要なステークホルダー**
- **A社の経営層**（売上目標の設定、投資判断）：社長室 小林様
- **A社のマーケティングチーム**（プロモーション施策、SEO対策）：山中様
- **A社のカスタマーサポート**（注文・問い合わせ対応）：棚田様
- **PM**（プロジェクトマネージャー）：㈱if 田中
- **デザインチーム**（サイトのUI/UX設計）：㈱if 杉浦
- **開発チーム**（フロントエンド・バックエンド・インフラ）：㈱if 大内、山上

### 📌 **スコープ（開発範囲）**
✅ **開発する機能:**
- 商品閲覧・検索・詳細ページ
- カート機能
- 会員登録・ログイン機能
- 決済・注文機能
- 購入履歴・配送状況確認
- 管理画面（商品管理・注文管理）

🚫 **対象外（開発しない範囲）:**
- 実店舗との在庫連携（第2フェーズで対応予定）
- 多言語対応（将来的に検討）

## **2. 業務フロー設計**
### 📌 **現状の課題と改善策**
- **現状:** A社は主に実店舗での販売を行っており、オンライン販売の仕組みが未整備
- **課題:** オンラインでの注文管理、決済、発送対応が統一されていない
- **改善:** 本システムにより、ECサイトを基盤としたオンライン販売プロセスを確立

### 📌 **業務フロー概要**
1. ユーザーがサイトにアクセスし、商品を閲覧・検索
2. カートに商品を追加し、決済を行う
3. ユーザーが注文履歴を確認し、配送状況を追跡
4. 管理者が注文を処理し、発送準備
5. 顧客サポートが返品・交換対応を実施

## **3. 機能設計**
### 📌 **機能一覧**
| 機能カテゴリ | 機能 | 説明 |
|-------------|------|------|
| **商品管理** | 商品登録・編集 | 管理者が商品を登録・価格変更できる |
| | 在庫管理 | 在庫数の更新・通知機能 |
| **ユーザー管理** | 会員登録・ログイン | メールアドレス・SNS認証をサポート |
| | パスワードリセット | メール認証によるリセット機能 |
| **購入・決済** | カート機能 | 商品をカートに追加・削除 |
| | 決済機能 | クレジットカード、PayPay対応 |
| **配送・注文管理** | 配送状況確認 | ユーザーが配送状況を確認できる |
| | 購入履歴 | 過去の注文を閲覧可能 |

## **4. データ設計**
### 📌 **データベース構造**
- ユーザー情報（会員データ）
- 商品情報（カテゴリ、価格、在庫）
- 注文履歴（購入履歴、配送状況）
- 決済データ（決済方法、取引ID）

## **5. 非機能設計**
### 📌 **パフォーマンス要件**
- レスポンス時間：ページ表示1秒以内
- 最大同時接続数：1,000ユーザー対応

### 📌 **セキュリティ要件**
- ユーザーデータはAES-256暗号化
- OAuth2.0によるSNSログイン対応
- クレジットカード情報は外部決済サービス（Stripe）で処理

## **6. 画面設計**
### 📌 **主要画面一覧**
| 画面名 | 説明 |
|--------|------|
| **トップページ** | 新着商品・人気商品を表示 |
| **商品一覧ページ** | カテゴリ・フィルター機能付きの商品一覧 |
| **商品詳細ページ** | 画像・価格・説明・レビューを表示 |
| **カートページ** | カート内の商品と合計金額を表示 |
| **決済ページ** | 支払い方法選択・配送情報入力 |
| **マイページ** | 購入履歴・配送状況を確認 |
| **管理画面** | 商品登録・注文管理 |

✅ **ワイヤーフレーム作成ツール:** Figma / Adobe XD 
✅ **レスポンシブデザイン対応（スマホ・PC対応）**

## **7. 外部システム連携**
- **決済:** Stripe APIを利用
- **認証:** Firebase Authentication + OAuth2.0
- **メール通知:** SendGridによるメール配信

## **8. 運用・保守要件**
- ログ管理（アクセスログ、エラーログ）
- 運用フロー（問い合わせ対応、障害時の対応）
- 定期メンテナンスとアップデート方針

## **9. まとめ**
📌 **仕様書のポイント:**
1. **システム全体構成を明確に定義**
2. **主要機能とデータ設計を整理し、開発しやすくする**
3. **画面設計でUI/UXの方向性を明確化する**
4. **外部システム連携と運用・保守を考慮**

この仕様書を基に、開発フェーズに進む。

2. PM実務① 要件定義の進め方

2. PM実務①　要件定義の進め方